Flower Trip

旅ブログ

短編「彼女ができた」フィッシュストーリー #猫の日

今週のお題「ねこ」

Puck - nap guru

彼女ができた 〜 フィッシュストーリー

 前回までのお話

 

マリエは一体どこに行ったのか?

また会えるのか?

翌日、よく行くバーに行ってみた。

中野駅の南口から5分ほど歩いたところにある「フィッシュストーリー」と言うバーだ。つまり嘘くさい話だ(笑)

 

まだ他には客は来てないようだった。

マスターはボトルをキュッキュッと拭いていた。そのままにしておくと、すぐにホコリがかぶってボトルがおいしく見えないからだ。いつもピカピカにしておくのがマスターの主義だった。

 

「マスター、マリエちゃん今日は来てないの?」

「あれ?昨日いい感じだったじゃない?」

「それが、いなくなっちゃったんですよ。今日も来るかなと思って」

「そうなんだ、今日はまだ来てないね」

「うぅ・・・マスター、とりあえずハートランド、生ね」

 

キンキンに冷えたグラスにハートランドが注がれて、静かに目の前に出された。浮雲のような泡からかすかな酵母の香りがして、黄金の炭酸でゴクリと喉を潤す。

 

「それでさ、マリエちゃんいなくなっちゃったんだけど、猫がね、代わりに猫が部屋にいてね」

「ええ?!猫・・・まさか・・・」

「マスター、なんか知ってるんすか?」

「いや、、そんなはずはない・・・」

「え?気になるなぁ・・・」

「ここだけの話なんだが・・・いや、そんなことはあるはずない・・・でも・・・」

 

マスターは何やら神妙な様子で話し始めた。

 

「それがだな・・・マリエちゃんがいつも飲んでたカクテル。プッシー・キャットっていうんだけどな・・・」

 

プッシー・キャットとは、ノンアルコールのフルーティーなカクテルだ。それでいつもマリエは酔ってなかったんだ。 しかし、それがどうしたというのだ?

 

「いつもそればっかり飲んでるから、あんまりそればっかり飲んでると、猫になっちゃうよって言ったことがあるんだ。でもまさかねぇ」

「マスター、そんなことあるわけないじゃないすか」

「わたしもただの噂だと思ってたんだけど、うちの店じゃ、嘘くさい話もときどき本当に起きちゃうことがあるんだ。その猫、まだ君の部屋にいるのか?」

「うん、なんか部屋から出ようとしないし」

 

マスターの話によると、プッシー・キャットというカクテルをたくさん飲むと猫になるっていう話だった。そんな馬鹿な話があるか?でも現実にマリエは消えて猫が現れた。いったいどうなっているんだ?本当に人間が猫になるのか?

  

 「そうだ、マスター。俺にもそのプッシー・キャットっていうカクテルをお願いします」

「君も猫になるっていうのか?すぐには猫にならないとは思うけど」

「猫になるとは思ってないけど、飲んだら何かわかるかも」

 

プッシー・キャットは、オレンジジュース、パイナップルジュース、グレープフルーツジュースグレナデンシロップを少し入れる。仕上げにオレンジとグレープフルーツのスライスを飾る。女の子らしいカクテルだ。

味はフルーツジュースって感じだけど、果実の柑橘系の香りがなんともムラムラさせる。なるほど。こりゃノンアルコールでも酔ってしまいそうだ。

マリエはどこに行ってしまったんだろう? 本当に猫になってしまったのか? それともただ家に帰ってしまったのか?

 

「何かわかったかい?」

マスターがそう聞いてきた。

「いや、何も。ただ、結構ムラムラするね。この味と香りは」

 

なんだか余計に寂しくなってしまったので、それを飲み終えて部屋に帰ることにした。途中でローソンに寄った。部屋に帰ってみると、すぐに猫が飛びついてきた。

 

「おお、やっぱりいたのか。そうだエサをやらないとな」

 

俺はローソンで売っている猫のエサをあげた。最近は猫のエサもコンビニで買うことができる。一度おつまみと間違えて買いそうになったことがある。

「おまえ、マリエちゃんじゃないのか?」

俺がそう言うと猫は「にゃあ」と小さく鳴いた。もしこの猫がマリエだとしたら、人間に戻す方法はあるのだろうか?

 

俺はその夜も猫と一緒に眠った。 

 

PS:なんのひねりも無いフィクションです。書きたかっただけだよ。

2月22日は猫の日だそうです。にゃんにゃんにゃん。

 

 

インスパイアされた短編集
フィッシュストーリー (新潮文庫)

フィッシュストーリー (新潮文庫)

 

 

 主人公はどことなく俳優の大森南朋さんを思い浮かべて書いていました。

この短編、この映画もとてもいいです。最後、泣けました。
「行けぇぇーーー!!!」ってなる。

ポテチ

ポテチ